ホテル業界はどの程度AIに取って代わられるか / 山本一郎さんの記事を読んで

最近は「10年後になくなる仕事ベスト50!」とか、「AIでいらなくなる職業」みたいなセンセーショナルな題名の記事が多くなった。先日もこの記事を読んで思うことがある。
 

ハウステンボス「ロボットと人工知能導入で長崎県民1000人削減」に見る修羅の世界

 
 
 
要はまだまだ技術的に追いついていないのと、そもそもサービスが貧乏くさかったっていう話だったわけだが、私も自分のところの宿泊施設に置き換えてどこが機械化でできるのか、考えてた。
 
宿泊業は大きく3つの仕事に分けられる。1番目はフロント対応や予約受付などの接客業務。2番目はお客さんが帰った後の客室清掃業務。3番目は食事を提供する飲食業務。
 
まず1番目の接客業務ですが、これはかなりIT化が進んだ。じゃらんネットや楽天トラベルなどのOAT(Online Travel Agent)が強力になり、自社websiteでも予約から決済までできるシステムを入れているホテルはかなり多い。電話での予約はうちの場合もう10%以下だ。
問題はチェックイン、チェックアウトの業務だが、これはビジネスホテルなら画面タッチでもいいのだが、うちみたいな観光目的で来る人の宿はやっぱり人間がいた方が業務的でなくていい。できれば綺麗な女性がフロントにいればいいのだが、現状は屈強な山男が接客している。
 
2番目の清掃業務だが、宿泊業で一番の人材難はここなので、 これを機械化できれば最高だ。
まずルンバとブラーバ(ロボット掃除機と拭き掃除機)を床に置いておくために、家具や敷物を最適化する必要がある。部屋もなるべくフラットに改装しなければならない。
水回りの掃除は、風呂は自動洗浄乾燥装置付きのをメーカーが安く売り出してくれれば髪の毛のチェック業務だけで済む。チェック業務だって機械の方が正確にしてくれそうだ。
トイレはすでに自動洗浄付きのが発売されているからそれに変えよう。
一番大変なベッドメイクだが、、、、これは全くアイディアがない。。トヨタの工場みたいに機械がやるのって可能なのだろうか?
 
 →こんなのもあった

何これ欲しい・・・自動で「ベッドメイキング」をしてくれるベット

 
つまりベッドメイクさえ解決すれば、人間は隅々の埃とか髪の毛とかのチェック業務をするだけで良くなる。設備投資に一体いくらかかるのだろうか。。。今度試算してみよう。
 
 
3番目の飲食業務だが、これはもうロボットが作ってロボットが配膳するのは可能なのだろうか?いちおうリゾート業なので配膳は人間がやって、お客さんと会話をした方が良さそうである。都会のビジネスホテルならここもほとんど人はいらないだろう。
スチコンと言って蒸す焼く煮る揚げるを全部できるヘルシオの大きい版みたいな調理器具が大きいレストランにはあるのだが、ロボットがレシピ通り耐熱皿に素材を盛り付けてその後スチコンが最適な調理時間と温度を寸分の狂いもなく調理すれば、まずいものができるはずがない。
洗い物は30年前から食洗機が洗っているし、皿を所定の位置にしまうのってそういうのこそロボットの方がしっかりやってくれそう。
 
そう考えるともうすでにAIというかロボット化できてしまうものが多数なので、ロボット化して余った人材は新しい人間にしかできない自然ガイドとかのサービスに当てられてお客さんの満足度も上がるかもしれない。
 
あとはロボット化に向けてどれくらい資金調達できるか。それは経営者の仕事であるが、その計算もAIがやってくれるんだろうな。そしたらおいら、ポレポレのハンモックでロボットが作ったミルクティー飲みながら一日中Youtube見て過ごせるのに。
 
まとめ
 
今すぐ機械化できる業務
・フロント業務
・掃除機、床拭き
・調理
・投資戦略
 
時代が進めば機械化できそうな業務
・風呂掃除
・ベッドメイク
・調理場の清掃、後片付け業務
・客室のチェック業務
 

10年後、日本のスキー場がほとんど潰れている未来

カナダ帰りのお兄さんがこんな記事を書いていて興味深かった。
 
 
 
要約すると日本のスキー場は禁止ばっかりだし子供向けにも設備投資してないし、レストランまずいしPR下手だしリフトおせーしホントクソ、っていう記事でこういう文脈最近よく見るけど、スキー場の経営目線で見ると割に合わないアドバイスも多い。リフトのレーンにニコニコしたスタッフ一人付けても客増えねーよ!20年前はリフト1時間待ちでも人来てたっつーの。ってね。
 
まず、スキー、ボートは本当にお金がかかる。これは元来お金持ちのスポーツなんだ。それを日本では一億総中流時代に中流の人が行ける料金と設備でスキー場を乱立させたわけだ。中流の人たちも少し背伸びしてスキー場に押しかけた。これが私をスキーに連れて行ってから始まる1980年代からのスキーブームだ。
 
・世界のスキーリゾートは誰のために作られているのか
ブログの彼のホームゲレンデはウィスラーだが、そこはベイルと並ぶ北米の金持ちが行くスキー場で、1日券が当日売りで200ドルだ。そこと1泊5000円で泊まれる寂れた温泉旅館が集まる1日券4500円の蔵王温(自粛)を設備とかレストランの質で比べるってのは酷な話だ。
 
当然ベイルリゾートがあるコロラド集には地元のあんちゃんが行くようなスキー場があって、例えばエーベーソンっていうスキー場はレストランに持ち込み自由でポテトだけ頼んでもってきた食パンとコーラを食べながらスキー場に2本しかないリフトで安くスキー場を楽しんでる。斜度45度を越す崖みたいなコースがあって、転ぶと滑落するんだけどあんちゃんたちが盛り上げてくれるから結構面白い。
 
要は、日本のスキー場は中流をメインのターゲットにしてきたが、その中流の人たちがずるずると下流に下がっていってスキー場に来れなくなって、かわりにオーストラリアとかアジアの人が来るようになったけどその人たちはどちらかというと国では上流の人たちだから、設備とサービスのミスマッチが起こっているわけだ。上流の外国人にはしょぼい設備で 、下流の日本人には高い値段設定。
 
ただスキー場経営の難しいところはある程度ボリュームがないと施設を維持できないので、いきなり日本の下流に成り下がりそうな中流をバッサリ切って外国からの上流階級をメインにするということに踏ん切りがつかない、もしくはそもそも経営が苦しくて融資も下りないから設備更新ができない。というのが本音だろう。更新が遅れれば遅れるほど手遅れになるので、これはもう各スキー場が生き残れるかは経営者の決断力にかかっている。
 
・日本人の遊びの基準
日本人は遊び方があんまり上手じゃない。この「遊ぶ」っているのは文化だし、豊かな国の人ほど遊び方が上手で、金に余裕があるおっさんがバイク乗ったりドローン飛ばしたりして楽しんでいるのも余裕の賜物だ。そしてその余裕って、金銭的なものだけでなくて精神的な将来の見通しだったりもするんじゃないかな?
 
 今日より明日が良くなるって漠然と思っている人は遊びに行くモチベーションも上がるし、多少趣味に金を使っても給料が増えるから今を楽しもうと考えるわけで、20年前のユーミンが流れてたスキー場に行った若者たちにとっては、その体験そのものがステータスだったはずだ。
今はオンボロのスキー場に行くことはステータスでもなんでもなく、1泊2日でスキーに諸々5万円かけるなら横文字の高級ホテルにとまって食事してナイトプールに入っちゃったりした方がインスタ映えもするしステータスにもなる。
 
 
だから、スキー場経営を考えるときには、メインのターゲットはどこにするのか。そのターゲットとなる客を呼ぶにはどんなマーケティングをしてどんな設備が必要なのか。これを頭から火が吹くほど経営者が考えて、そして早めに決断すること。一回投資したら10年は後戻りできないから。
 
僕の地元にある町民スキー場なんかは、設備更新は一切しないがリフト代を子供500円にして地元の子供たちのためにやっている。大人もたった1000円。こういう方針で、これはこれで大有りだと思う。
 
中途半端なスキー場はそのうち立ち行かなくなる。規模の問題ではなくそのスキー場が世間でどう認知されるかによる。1つでもスキー場がなくならないように、スキー場同士の競争が活発になって日本の遊びの文化の一つにスキー、ボードが残るように、苦思いでしょうがスキー場経営者のみなさんよろしくお願いします。

 

5年やってわかった、日本人と台湾人に見る客室の使い方の違い

以前ブログでこんな記事を見つけた。

中国人観光客の増加①マナー違反に迷惑する日本人/誠実さの違い。

 
大体の記事の内容は、「 中国人観光客がホテルの部屋から色々な物を盗んでいくが、それは両国の道徳観の違いで盗まれないように対策をしなければならない。」というものだ。
 
僕もホテル経営者の端くれとして言わせて貰えば、それは国別ではなく客の質別に考えないといけない話ではないのかと思う。
 
私のホテルにはだいたい日本人60%、台湾人15%、シンガポール人(マレー系)10%、シンガポール人(中華系)5%、香港人5%、その他5%くらいの比率でお客さんに利用してもらっている。
 
正直に言って、チェックアウトした後のお部屋は日本人がダントツで一番きれいだと思っていたが、清掃スタッフにどの国の人がきれいに使ってくれているか聞いてみたら、結果はこうだった。
 
1位…日本人のお年寄り
2位…台湾人と香港人シンガポール人の中華系
3位…シンガポール人のマレー系
4位…日本人の子供連れ
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100位…日本人のヤンキー
 
この結果、私が長年モヤモヤっと思っていたことを、批判を恐れずに今日書いてみたいと思う。
 
「金持ちほどきれいに使っていく」
 
まず、1位の日本人の老人は昔の厳しいしつけの時代を生きてきた人なので綺麗なのは納得である。2位の中華系の方々は1位に限りなく近いレベルで綺麗だ。3位のマレー系のシンガポール人に関しては、宗教上食べ物に制限があるのでお部屋で持ち込んだ料理を食べているから、キッチン周りの掃除が大変だという理由で4位になっている。ベッドルームなどは概ね綺麗に使ってもらっているそうだ。
4位の日本人の子供連れは、私も子供がいるからわかるのだが、子供はやっぱり窓を触ったり食べ物を落とすので汚れてしまう。これは成長のために必要な汚れなのでホテルスタッフとしても微笑ましく思っている。
 
問題は100位の「日本人のヤンキー」である。
まず彼らはゴミ、タバコの吸殻をその辺に捨て、夜は遅くまで騒ぎ、朝はチェックアウト時間を過ぎても寝ている。あまりにも最低な客なので5年くらい前にヤンキーはどうしたら来なくなるのかを真剣に考えた。そして2017年はヤンキーが0%になった。
 
どうやったら汚いヤンキーが来なくなったのか?
 
「中国人お断り」と書いた店があると上のブログには書いてあったが、うちのホテルではさすがに「ヤンキーお断り」とは書けなかった笑
一番最初にやったことが、最低料金を値上げしたことだ。5年前は一番高い料金と一番安い料金に10000円も差があった。つまり、1泊1人15000円払う人と5000円しか払わない人が同じ宿に泊まっていたのである。そして5000円の客はやっぱり、ヤンキーだった。
 
なので最低料金を5000円から8000円に値上げしてみた。この決断に至るまでは客が減って売り上げも減るのではないかと相当怖かったが、結果大正解だった。
 
料金の値上げに伴い客室も改装を進め、1コテージ最大12人泊まれる部屋の定員を6人に減らした。2018年現在、この部屋は4人用の部屋となった。
 
2人~4人で来たお客さんが快適に使えるように客室を大幅に改装したのでお金はかかったが、結果客単価が上がり売り上げが増えた。
 
そして何より、お部屋の掃除が楽になった。お客さんはみんな綺麗に使ってくれるようになったのだ。ここ5年、お部屋でゲロの後始末をすることも静かにしてくれと夜回りをする必要もなくなった。
 
今は嬉しいことに色々な国の人がポレポレを利用してくれるが、どこの国の人だろうと本当に綺麗に使ってくれている。話題の中国からも僅かだが泊まりに来るが、嫌な思いをしたことは1度もない。
今やポレポレに来るお客さんは本当に清楚で、いい教育を受けてきたレベルの高い人達ばっかりだ。
 
おそらくブログの中で物を盗んでいく中国人は、安いホテルに泊まっている所得の低い人なのではないか。スラム街の治安が悪いのと一緒で安いところにはそういう人が集まってしまうのではないか。日本人のヤンキーは海外に行ったら壁に落書きしてるし、人種よりも所得との関係の方が大きいような気がする。
 
さて、ポレポレに来るお客さんはレベルの高い人達ばっかりだから、あそこの奥山って言う奴はレベルが低いって言われないように頑張ります。私たちがお客さんを評価しているように、お客さんも我々を評価してるわけですからね。